現実の経済を前提とした経済原理

あなた自身の経験に照らし合わせて確かめてください

経済とは何か:経済原理

『現実の経済と経済学の現実:社会科学のコペルニクス革命』

 

 そもそも経済とは何でしょうか?

 漠然とお金に関するものが経済だと感じている方は多いのではないでしょうか?現在の経済学の定義の一つである「経済学とは、代替的用途をもつ稀少な諸手段と諸目的との間の関係として人間行動を研究する学問である。」ロビンズ(Lionel Charles Robbins, 1898-1984『経済学の本質と意義』An Essay on the Nature and Significance of Economic Science, 1932.)を思い出す方もいるかもしれません。

 これらの考えが正しいとすると、経済学は現実の経済でも通用する理論を既に発見していたかもしれません。何を言いたいかと言えば、そもそも「経済とは何か」と言う事が分かっていないために、我々は未だに現実の経済を前提とする理論を見いだせていないのではないのでしょうか?

 このような考えから、この「経済とは何か」と言う根源的な問いの答えを探し続けている研究者達がいます。トニー・ローソンを初めとする、これらの人々は従来の経済学を徹底的に批判しているグループとしても知られています。

 彼らの批判を簡単にまとめるなら従来の経済理論はどれも現実の経済を表せていないということです。彼らの批判は非常に的確で、これに反論するのは難しいでしょう。実際、効果的な反論を私自身は見つけられていません。代わりに、彼ら自身も、批判する経済学に代わる経済理論を提案できていない、として批判されています。そのため、経済学も、彼らの批判を受け入れるとしても、それに代わる理論がない以上、現状では従来の経済学を採用しているという立場をとっているようです。

 

 つまり「経済とは何か」と言う根源的な問いに答える事が出来れば、現実に適合する経済理論が生まれるかもしれないと言う事です。

 そして、この答えこそが本書の目的である、我々が漠然と捉えている現実の経済に対して、その仕組みを秩序立てて理解する事を可能とする原理、つまりパラダイム転換となる新たな見方になります。

 

それでは、改めて

「経済とは何か」?

それは「助け合い」である。

と言うのが、本書が提示する答えです。

 

 こう書くと、宗教的あるいは倫理的な単なる啓蒙書やとんでも本のように思われるかもしれませんが、あくまで事実としての現実の経済の事です。

 この事を、この本では身近な経済である市場経済や人類の歴史、また経済学が解答を出せていない問題に答える事を通して示しています。


 ただ宗教的あるいは倫理的なものではないと言われても、なかなか受け止められない方もいらっしゃるかもしれません。実際、私自身もいきなり「助け合い」と言われれば、自動的に宗教的あるいは倫理的なものと判断していたと思います。もしかすると、そのような印象を持ってしまうこと自体が今までその答えに気づくことを、妨げていたのかもしれません。
 しかしながら、こう気づくことで現実の経済を秩序立てて理解することが可能になるのです。

 

 また、「助け合い」と聞くと宗教的あるいは倫理的なものと考えてしまう根底には「助け合い」が無条件に良いものだと言う考えがあるように思えます。本の中でも触れていますが、助け合いは犯罪のためにも行われるし、戦争を行うためにも行われています。つまり、助け合い自身に善し悪しがあるのではなく、何のために助け合うかによって変わってくると言う事です。何を言いたいかと言えば、この本で、「経済は助け合いであるから良いものだ」と言おうとしているのではない、と言う事です。

 他にも、ここで言う「助け合い」とは自分の判断に基づくものに限らず、他人あるいは無意識による「助け合い」も含まれています。そのために、この考えに気づけなかったとも考えられます。

 

 こう書いても、眉唾物としか感じれない方もきっと多くいらっしゃるでしょう。しかしながら、この本が言う「助け合い」の意味を理解し、実際に経験されている現実の経済に当てはめて理解した時、目から鱗が落ちたようにハッキリと世の中が見えてくる様になると思います。

 

 この考えが実際に広く現実の経済に当てはまっているかを試す上でも、多くの人に拡散していただいて、様々な意見を頂けたらありがたく思っています。

 

『現実の経済と経済学の現実:社会科学のコペルニクス革命』

download版:kindle 249円(税込)

書籍版:5/15発売 1944円(税込)